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ベッドの上の布団の盛り上がりが、やがて規則正しい上下を繰り返すまで、智也はソファーに座って、雑誌を見ているフリをしていた。
あれ以上、祥悟に触れていたら、どうにもならないところまでいってしまっただろう。
自分の中から込み上げてくる激情を、上手くコントロール出来るほど、自分は大人じゃない。
この部屋に来てから、祥悟が惜しみなく自分に魅せてくれた、いろいろな姿を思い浮かべてみる。
キスの感触。
甘い吐息。
まだ少年っぽさの残る、でも恐ろしく綺麗な身体。
可愛い胸の尖り。
甘やかな喘ぎ。
感じてうっすらと染まる肌。
そして、青い花芯を口に含んだ時の、泣きたくなるような歓喜……。
……可愛かったな……。ほんと、夢みたいだ。
両手を持ち上げ、自分の手のひらを見つめてみる。この手の中に、舞い降りてきてくれた愛おしいぬくもり。
大切にしてやりたいと、心の底から思う。こんなにも愛おしい存在と出逢えた自分は幸せだ。
君を愛していると伝えるのは、もっとずっと先でいい。
大人になった祥悟が、自分の気持ちを受け入れてくれる可能性があったら、その時でいい。
今はこうして密やかに想い続けるだけで、こんなにも心は満たされるのだから。
「祥……ありがとう」
智也はそっと呟いて微笑むと、立ち上がってベッドの方へ行った。拗ねたように壁の方を向いていた祥悟は、寝返りうったのか、いつのまにかこっちを向いて無邪気な寝顔を見せている。
ベッドをきしませないように、そっとそっと隣りに横たわった。
1人分以上の間を開けて、静かにただ愛しい天使の寝顔を見つめる。
初めて祥悟と一緒に過ごす夜は、信じられないくらい甘くて……そしてせつなかった。
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