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……まったく。ちょっと落ち着けよ、俺。
ホテルに泊まって別れた後、祥悟の夢を何度も見た。自分の愛撫に可愛いらしく喘ぐ姿を思い出しては……それをおかずに抜いてしまったことも……ある。
下心、と言われて、咄嗟に反応出来なかったのは、こうして食事に誘って、また少し距離を縮めたいと目論んでいたからだ。そして、あわよくばこの間みたいな特別レッスンを……なんて、ちらっと妄想していた自分の疚しさを、見透かされてしまった気がしたからで。
……いや、あんなこと、もう2度と出来ないって、わかってるけど。
さっきまた、思い知らされた。まだ高校生なのだ。この子は。制服を着て真面目に学校で授業を受けている様子なんか、まったく想像出来ないけれど。
「おまえ、頼まねえの?」
「あ。うん、俺はパスかな」
今度はすぐに反応出来た。うっかり、祥悟の制服姿を想像しかけていたが、顔には一切出ていなかったはずだと自信がある。
「そっか。おまえ、甘いもんダメだっけ」
「そうだね。君が食べたいものを選んだらいいよ。どれか気になったの、あるかい?」
祥悟はまたメニューに視線を戻して、ふうっとため息をつき
「いっぱいあり過ぎて、選べねえし。俺が好きなの全部、頼んでもいいのかよ?」
「ふふ。お腹を壊さない程度にね。食べきれないなら、持ち帰りもあるよ」
祥悟はうーんっと唸って、ぱらぱらとメニューを捲ってから
「決めた」
そう言って、ちょっと楽しげに微笑んだ。
「すごいな……」
テーブルの上にどんっと置かれたデザートプレート。
……これ、何人前……。
ちらっと祥悟の顔を見る。祥悟は満足そうな笑みを浮かべて、美しく盛り付けられたデザートの山をいろんな角度から眺めていた。
……無邪気だな……こういう時の祥の顔って。
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