きっかけ

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高校は全寮制のものを選び、バイトをこなしながら自立する力を養っていた。大学ではその経験を生かしてさらに遠くの街を選んだ、大学内でも積極的に人と関わっていき、。もちろん自分の行きたいと思った進路だったが、結局のところ離れなければいけない運命にはあったらしい。一人暮らしは大変だという事もネットの知識ながら手に入れたものだったが、家事を自分でしなければいけない大変さ、家に帰っても準備をしなければいけない面倒くささ、自分でアルバイトをする苦労といっ田ものすべてを抱えても。膨らんだ期待に沿うような生活はより一層に帰りたくないという気持ちを強めていった。 そんなこともあって学生時代は実家に帰ってくることもなかった。そんな自分がなぜ実家に帰ってきたのか、話は大学の友人と卒業式以来に飲みに行った時の事だ。 「とりあえずお疲れ様、かんぱーい」 居酒屋に広がる声はよく聞きなれたものだった。大学生御用達の居酒屋で、少人数で飲み会をするにはちょうどいい場所にある。今までも何度か飲み会を開いては楽しんできた。だがそれももうできなくなるかもしれない、 音頭を取った斎藤圭介は大学を卒業する前にまた飲み会を開きたいと言ってきた、今回はその集まりだ。メンバーは全員で5人、男が三人と女子が二人だ。このグループは大学の研究室の同期であり。卒業が無事に決まり、内定や引継ぎなど、将来が決まったうえでそれぞれが社会に出ていこうとしている者たちでもある。集まらなければいけない理由などなかったが、誘われた全員が快く参加していた、こういった飲み会が基本的に好きな連中でもあったからだ。     
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