豪雨の日に

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濡れた手で御屋敷のインターホンを飛び上がって押し「ごめんくださいませ。奥様、初めまして。猫の家政婦会から参りました猫のミーチャンです。宜しくお願いいたします。」ドアが開き、奥様が「まーっ、あなたが家政婦さんなの。ズブネレ捨て猫かと思ったわ。ビックリしたわ。」ミーチャンは「奥様、私は全身毛の生えた猫でございますから、雨で風の強い日はこうなります。スリムに。ドライヤーをお借りしたいのですが、洗面所は何処にありますか。」「あーら、そのままで大丈夫よ。うちのサユリ君をシャンプーしてくださらない。ところで、あなたそのチッコイ身体で出来るのかしら。」と奥様は首を傾げた。そしてミーチャンはサユリ君を目の当たりにして腰が砕けた。「ニャンだコリャー。」と叫びたかったが、柔道黒帯をぐっと締め直し、「奥様お任せあれ。私はサーベルキャットさんは慣れています。」と自分自身信じられない冗談言っちまった。と引き返せない我が人生を呪っていた。猫ルーム内には大きな檻があり、優雅にサーベル様が鎮座していた。マダムが「サユリ君、家政婦さんのミーチャンさんよ。ご挨拶なさい。」デカい猫は「ヨッ、初めまして。宜しくな。」ミーチャンを見るなりウィンクした。マダムはサユリ君を連れてバスルームへ案内した。「あなたのお洋服乾燥させて、その間サユリ君をシャンプーして下さらない。あなたは子供用バスローブで良いわね。私は今からお友達と銀座でランチざます。サユリ君はシャンプーの後はお昼寝しますから、あとは3時からディナーの準備にコックさん来ますから、サユリ君を寝かしつけたら帰ってね。鍵はこれです。お持ちになってね。宜しく。」とマダムは運転手付きの車に乗り出掛けた。室内には二人、いや、二匹だけになった。別室でバスローブ姿になり、バスルームに戻ったら、サユリ君は何故か仰向けにゴローンと毛むくじゃらの身体を投げ出し横たわっていた。思わず、「ちょっとアンタ、猫背のくせに何仰向けになってんのよ。」サユリ君は「いやー俺、春夏秋冬股間がムズ痒くってさ。」
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