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「伊東くんは夏美と出会う前のことって憶えてる?例えば幼稚園の頃とか。」
「うーん…。あんまり憶えてないかな。」
「やっぱりそうだよねー。夏美結構個性強いもんねー。」
奈緒が何を言いたいのかあまり分からなかった。
「あ、じゃあバス来たみたいだから。また明日!」
「また明日!」
そう言って別れた後の一人の帰り道。真っ直ぐ帰る気にはなれなくて、公園に寄ることにした。
誰もいない静かな公園。入口の外から見たその光景は、まるで住民を失って朽ち果てていった廃墟のように見えた。夏美がいないただそれだけで。
僕はなんとなく入る気がおきなくて、来た道を戻り家に帰った。
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