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朝
―体育祭は絶対晴れる―
そんなジンクスが私の通う高校にはある。
現に、一年生の時も二年生の時も、前日の予行は雨で体育館で競技の確認をした。各学年男女別の集団演技は激しい雨でなければ、外でやらされたが。
しかし、次の日、体育祭当日は晴天で、グラウンドも乾いていて、絶好の体育祭日和だったのだ。
……今日は三年生、私の最後の体育祭のはずだったのに。
グラウンドに降り注ぐ雨を横目に授業を受けているのは何故だろうか。
「今日は雨だな」
知ってる。
「わが校の体育祭は晴れって決まってたのにな」
知ってる。
「開校40年、体育祭の日が雨なのは初めてのことだよ」
知ってる。
「今までは天気予報を裏切って晴れだったのにな」
知ってる。
「残念だが、皆真面目に授業取り組んでくれよ」
……わかってる。わかってるけど。
「中止じゃなくて延期だから、楽しみにしとけよ、予備日は晴れの予報だから」
でも、そういう問題じゃないと思うんだ。
私は体育は嫌いだし、体育祭も高校に入るまではクソ喰らえと思ってた。でも私がこんなに悲しむのは、クラブに入っているから。
本部横という1番競技を見やすい場所の一つのテントの中で、その競技でその時で、一番輝いている人を全校生徒、親や学校近くの方に伝えるクラブ。放送部。
昨日も、天気予報も雨だった。でも私も絶対晴れるって信じてた。今日は放送席に座って、皆の一喜一憂を見れるものだと思い込んでた。楽しみにしてたのに。こんなことになるなんて。
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