1.イノセンス

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1.イノセンス

中学生も最後の年という三年生になってから三週間めの終わり、新しいクラスメイトたちの顔ぶれにも慣れてきた。 とりわけ、このクラスには学年一目立つ三人のうちの二人がいて、そのせいか、クラスなりの雰囲気がすぐにできあがった気がする。 来月の末にある体育祭の係を選ぶのにも、このふたりの、おまえやれよ、なんていう無責任な指名によって滞りなく決まった。 表に立って引っ張るリーダーではなく、陰で指令するという、どう見ても性質(たち)が悪い。 いわゆる不良ではない。 簡単に云えば、自由人だ。 ひとたび関われば振りまわされそうで、けれど、自分が関心を持たれるとも思っていない。
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