1.イノセンス

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「実はさ、航は西崎のことが――」 「祐真っ」 航は声を張りあげ、祐真をさえぎった。 つかつかとこっちに近寄ってくる。 「ははっ。やっぱ、的中か」 傍に立った航を見上げ、ざまぁみろ、と云わんばかりに祐真は口を歪めて笑う。 「祐真、てめぇ――」 「隠してるつもりだったのか。おれに隠し事なんておまえには無理だな」 祐真はふっと小ばかにした笑みを浮かべ、 「航、本命いるんなら、おまえも遊びはやめたらどうだ?」 と、すごんだ航をものともせず、それどころか煽っている。
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