1.イノセンス

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航は苦虫を噛み潰したような顔つきになった。 「ちっ。ムカつく奴」 「意味ないだろ、ケンカもオンナも?」 「意味ないって……意味づける必要ないだろ?」 「おれはもうオンナに奉仕活動する気ない」 「んじゃ、ラストだ」 「いいけど……」 と云いながら祐真は実那都へと正面向いた。 「実那都ちゃん、実那都ちゃんも一緒に行こうな」 いきなりファーストネームで呼ばれた。 さながら、捨て猫をなだめるような、にっこりとした笑顔が向けられる。 意味不明の会話にぽかんとしていると、立ちあがった祐真からいきなり腕を取られ、実那都の腰が浮いた。 事の成り行きがさっぱりわからない。
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