1.イノセンス

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西崎実那都(にしざきみなと)は区切りのいいところまで読み終わると、開いていた本をいったん閉じた。 金曜日の放課後、部活の人はもちろん部活に励んでいるが、帰宅組はどこかでのんびりと寄り道をするべくさっさと帰り、ホームルームのあとの教室は空っぽになる。 けれど、今日は違った。 顔を上げると、いちばん前の席に人がいた。 ベランダ側の窓際の席で、そこは女子の席だったはず。 制服のジャケットを椅子に掛け、白いシャツを着た背中を向けて座っているのは、はっきり男子だ。
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