1.イノセンス

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もともと後ろを振り向きかけていた神瀬(かんぜ)祐真は、声のしたほうから飛んできた小箱を瞬間的に受けとった。 箱がカラカラと音を立てる。 「なんだよ、これ」 祐真は眉をひそめ、投げつけた航を見やった。 「バースデープレゼントだとさ」 「誕生日は昨日だし、いらねぇよ」 祐真は航に投げ返した。 実那都の横を通りながら航は軽々と片手で受けとった。 「冷てぇな」 「おまえが軟派なだけだろ」 「おまえがいらねぇんならおれがもらっとこうか?」 「いいんじゃね?」 素っ気ない祐真の答えに、航は呆れたように首を傾けた。
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