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「なんだ、稜か」
ほっと私も理奈も息をつく。
「なんだってなんだよー! 俺がいちゃ悪いか」
稜はむっとする。私は慌てて、「そういう意味じゃないよ」と手を振った。
理奈は、「稜になら、聞かれてても聞かれてなくてもどうでもいいや」とつぶやく。
「なんだよ、その言い方。どうせいつものくだらない恋バナとかでもしてたんだろー。その話なんて、聞き飽きたわ」
理奈と稜がいつものようにけんかするのを見つめながら考える。
稜と話すとき、最近、やたらとドキドキするのはどうしてだろう。
前まで、他の男子と差なんてなかったのに。
カーテンをしっかり引き直して、稜は声のボリュームを落とした。
「今日は秘密の話がある」
どきりと心臓がはねた。いつもより、稜の顔は真剣だ。
「俺、中学には行かないんだ」
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