クリーム色のカーテン裏で伝えたら

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えっ……。 思わず、固まってしまった。 「稜も、受験するの?」 理奈が聞くと、稜は首をふる。 「じゃあどういうこと? 稜は、私やみんなと同じ公立中学に行くんじゃないの!?」 思わず叫んでいた。 稜と私の家は、同じ学区にある。 中学も一緒だって疑わなかったのに。 「うーん、やっぱこれ以上は言えない」 稜はとぼける。 「はぁ? 別にいいけど、興味ないから」 理奈は冷たかった。 「やだ! 教えてよ」 だだをこねたのは、私。 「受験もしないし、公立にも行かないってどういうこと?」 「だから、まだ秘密なんだよー。ほら、杏って口軽いだろ」 稜がニヤッと笑う。 「そ、そんなことないよ! 言わないから! お願い教えてよ。だって私たちの仲でしょ」 カーテンの中がしんとする。 この一年間、同じクラスになってから、私たちは3人は不思議と気があって、このカーテン裏の秘密基地で色んな話をした。 他のクラスメイトたちは興味なさそうな、ミステリー本の話、先生たちのうわさ、理奈のお兄ちゃんの彼女の話、稜が買った天体望遠鏡の話、私がコレクションしているテディベアの話……。 そういう話をするうちに、私たちは、とても仲良くなった。
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