クリーム色のカーテン裏で伝えたら

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クリーム色のカーテン裏で伝えたら

6年1組、教室の一番後ろの窓。 そのカーテンの裏側が、私たちの秘密基地。 クリーム色のカーテンが、私たちをクラスメイトの視線から守ってくれる。 秘密の話をするのはここが一番。 「はあ、受験緊張するよ」 「私立星宮中学だっけ? 理奈なら大丈夫だよ」 友達の理奈(りな)は私立中学を受験するらしくて、最近ナイーブ。 「落ちたら、あの人と離れ離れになっちゃう」 あの人、というのは理奈の好きな人。 隣の小学校の子だけど、塾で一緒になったらしい。 カーテン裏でなら、こんな恋バナもできちゃう。 「ぜったい、大丈夫だって!」 「(あん)はどこも受験しないの?」 「うん、私は公立中学だよ」 理奈はクラスで一番大人っぽくて、目立つタイプではないけど、実はとても美人だと私は思っていた。 こんな子と友達になれて嬉しかったのに、もうすぐ離れ離れなんてさみしい。 でも、もう一人の友達は、一緒の中学に行けるから我慢できる。 ざっとカーテンが開かれて、二人ともびくりと振り返った。
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