彼女

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 俺はなるべく時間のあるときは涼子と一緒にいるように心がけた。  それでも仕事があるので毎日は一緒にいられない。  俺は休みの日の大半を涼子の家を訪ねることに費やすようになった。  俺が頻繁に涼子に会いに行くことで効果があったのか、手首の傷は前ほど増えなくなっていた。 「トモ君。ありがとう」  ある休日、いつものように会いに来た俺に涼子がぽつりと言った。 「何が?」 「だって、トモ君、仕事忙しいのにいつも会いに来てくれるじゃない」 「このぐらいどうということないさ」  涼子は俺の言葉を聞いて安心したように微笑んだ。  そのはにかんだ笑顔を見て俺も嬉しくなった。こうやって少しずつ、涼子の心の傷が治ってくれればと思った。 「おじゃまします。おばさん」  休みの日、いつものように俺は涼子の家を訪ねた。 「あらトモ君。いらっしゃい」 「涼子は?」 「部屋にいるわよ」  俺は涼子の部屋に向かった。 「涼子?」  部屋をノックしても返事がない。涼子はよくヘッドホンをして音楽を聞いていることがある。きっと今回もそれだろう。 「涼子。入るぞ」  涼子の返事を待たずに俺は部屋の戸を開けた。そして目を疑った。
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