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少年時代
俺と大ちゃんはよく二人して銭湯に行くことが多かった、二人で自転車に乗り、地元のあらゆる銭湯を制覇して楽しんでいたんだ。
星也の事を何度か誘ったことはあるんだけど、お金も自転車もないから行かないって言ってたんだ。
俺はもしかしたら星也が銭湯に行こうって言い出すと思っていたんだ。
なぜなら星也は今日、自転車に乗って来たからだ。
大人が乗るような、大きな自転車に。
『よし、三人で行こう』
大ちゃんは嬉しそうに言った。
『星也、気を付けて走れよ、今日は少し遠い所に行くからな』
俺は、少し先輩風を吹かしながら、星也に言った。
『うん、大ちゃんと賢ちゃんに離されないように頑張るよ』
星也は嬉しそうだった。俺達も笑みがこぼれる。
『じゃあ、ご飯食べたら、十九時に公園に集合な。』
大ちゃんが言うと、俺と星也は大ちゃんに敬礼した。
『了解』
俺たちはそのあとも少しだけ遊び各々の家に帰った。
家に帰ると母親が料理を作っていた。
俺は母親に『ただいま』と言うと、タンスから、着替えを取りリュックサックに詰め込んだ。
俺の胸は高鳴っていた。
『大ちゃんと星也と銭湯行ってくるね』
『あら、そう。あんまり遅くならないようにね。』
母親は寝起きなのか気だるそうに言った。
うちには父親はいない。
俺が三つの時に病気で他界していて、母親が夜の仕事をしているんだ。
部屋には香水の匂いが漂っている。
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