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雨の日はなんだか落ち着くから好きだ。
まぁ、髪の毛がやたらと爆発してまとまりにくいとか、歩き方が下手くそでズボンの裾が汚れやすいとか嫌いになる要素は割といくつも思いつくけれど、よくよく考えてみるとやっぱりどっちかというと好きみたいだ。
少女漫画みたいに、傘がないと困っている僕にすっと傘を差し出してくれるようなイケメンも美少女も僕の人生には出てきた事は一度もないし、ちょっとやらしいDVDみたいに、服がびしょ濡れのかわいい子が出てきたことも皆無。(なぜそんなのを知ってるのかなんて聞かないで)
でも、なぜか落ち着くのはこの雨音のせいなのかもしれない。色んな音があるこの世の中で、雨音は甘美だ。
今も時計の音や、うちの猫用に置いてある自動水ろ過装置の水の流れる音が僕の耳に響いている。
この音がない時には、風の音や空気の音をじっと聞く。あ、今鳥のさえずりが聞こえた。
テレビを見るのが僕はあまり好きじゃないのに、僕の両親はテレビがついていない時間なんてありえないらしい。大音量で響く騒音はウンザリする。
雨が近づいてきて、外に出た時に雨の匂いがするとなんだかウキウキしてくる。
雨の匂いって何だろう…埃っぽいというか。とにかく雨の匂い。もうすぐ降るだろうなって。
今の季節は、ツバメが低く飛んだりもしてるし、何しろツバメの鳴き声が聞こえてくるのが好きだ。
そして部屋にいるときに聞こえてくる、シトシトと雨の降る音。たまらない。
だけど、雨の音が好きだなんていう人にはそういえば会ったことがない。
そんな音が好きだなんて、絶対音感でも持っているのかと聞かれた事があるけれど。まさか。
確かに楽譜が読めなくて、耳で聞いて音を覚えるタイプだけれど、この音はこれなんてわからないよ。
ただ、ただ静かに音を聞くのが好き。それだけ。
それだけだったはずなのに。
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