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負け犬の遠吠えに成るのだろうか、自分達の罪は棚上げにして憎しみの言葉を叩き付けた少女の一団は去って行った。そうする事で憎しみの対象を作り上げるしかなかったのも知れないけど、お陰でカンパの声を掛けられなかった者達は用意していた硬貨をそっと片付けた。
教室内は再びの喧騒を取り戻したものの、そこには演技染みたあざとさが見え隠れし時折素早く視線が動いて二宮を射抜く。
否応なく漏れ聞こえる囁き。
既に共犯者となった者達の自己弁護とも取れる台詞。
「金出さなくったってさ、知った時点で共犯だよな」
「そうよ、お高く止まって」
「だったら止めさせろっての」
「育てられないって分かっている癖に」
「正義感だけ振りかざすなよ」
「不純異性交遊確定」
「ナシでヤッたのかも」
下卑た言葉が混じる度に、おどけた仕草で口元にバッテンを指先で形作る者も居る。
自分じゃなくて良かったと、どこまでも傍観者の顔をしながら。
たった一言で、非難を自分に集めてしまった二宮は間違っていたのだろうか。
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