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「うちは大丈夫だぞ。母ちゃんにしてみれば、隆平が減って力弥君が入るだけだから一緒、一緒」と隆平君の父親は豪快に笑っていたが、家事は外部のサービスに頼んでいるので、力弥君の手を煩わせることはないこと、食事も基本的には外食ばかりだが、治樹と自分のどちらかが必ず一緒にとるようにすると約束して、納得してもらった。 「それでは、私は力弥君の資産管理、といいますか遺産相続の方を手伝いましょう。」 弁護士である巧君の父親が申し出た。 「相続権のある親戚の方がいるのかどうか、その辺の確認も必要でしょうし。力弥君にきちんとお金がいけば、来年、大学に進学するにしても、スムーズにできるはずですから。」 市内で不動産業を営んでいる隆平君の父は、仮に力弥君の家を人に貸すなり、手放すようなことがあったら喜んで協力すると言ってくれた。また市内ではいろいろと顔がきくから、困ったことがあれば何でも相談してほしいということだった。 これで、力弥君を支える体制はある程度整った。 もう、一人でつらい思いはさせない。 その思いを強くしながら、彼が退院する日を、我が家に来る日を待った。
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