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その夜、僕たち二人はソファに並んで座りながら、古い映画のDVDを観ていた。ギャングの二人が、お互いを大切に思うからこそ嘘を重ね、裏切りあうフィルムノワール。唯一無二の相棒を失うエンディングに胸が痛くなった僕は、深いため息をつきながら芳樹さんの肩に思わず頭をもたせかけてしまった。 芳樹さんの腕が僕の肩に回る。つむじのあたりに、ふわりと湿った空気がかかった。 え、えっと…頭、臭くないかな…芳樹さんの顔を確認しようと顔をあげたその時、僕の唇に、あたたかいものが触れた。
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