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ばあちゃんはセンター試験が終わった2日後、心不全で突然帰らぬ人となった。僕たち受験生は年が明けた3学期から自主登校が認められていて、家で勉強していてもよかったけど、治樹と僕は毎日のように学校で一緒に勉強していた。その日もいつものように、夕飯の支度をする時間に家に帰ったけど、明かりが付いているはずの家の中がまだ暗いままだった。
「ばあちゃん、ただいまぁ。どこにいるの?」
声をかけながら廊下を進んだところで、トイレのドアから半身を出して倒れていたばあちゃんを見つけた。だから、僕を見つけた時の治樹の驚きや恐怖感、押しつぶされるような胸の痛みは、僕にも少しわかる。
ばあちゃんを見つけた後の記憶は、途切れ途切れだ。搬送された病院で死亡手続きをして…通夜と葬式、それから火葬場で荼毘に付して…きれいな白い布のカバーがかかった骨壺に収まったばあちゃんと、二人で一緒に暮らした小さな家に帰った。
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