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隣の家の春ばあがおすそ分けしてくれた肉じゃがを、レンジで温める。タッパーに入ったままのそれを食べてみたけど、ジャガイモが口の中でもそもそとするばかりで、味がわからない。
次の日も、春ばあは昆布巻きと肉団子を持って来てくれた。僕の手を取りすすり泣く春ばあの背中をそっとさすりながら、僕は精一杯の笑顔を作る。
「春ばあ、ありがとう。僕はもう大丈夫だよ。」
二つのタッパーを受け取ると、昨日の肉じゃがを捨てて、きれいに洗っておいたタッパーを返した。
「肉じゃが、おいしかった。ありがとね。」
春ばあはまだ心配そうに声をかけてくれるけど、口が動いているのが見えるばかりで、その声は聞こえない。何て、言っているのかな。
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