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白いケースの中から、ばあちゃんの骨壺をそっと取り出す。
冷たい陶器の入れ物をなでていると、これまでの二人の暮らしが脳裏によみがえった。
入退院を繰り返していた母親が、亡くなった時のこと。父親が保育園に初めて迎えに来てくれたその日も、雪がちらついていたっけ。それから一年ほどして父は再婚し、この家を出ていった。振り返ることのない父の背中を、ほの暗い廊下から見送った。相手の女の人は父との間の子を妊娠していて、僕と一緒に暮らすのは嫌だと言ったらしい。
それからは、ばあちゃんと二人暮らし。その年の春に小学校に上がったから、十二年もの間、たった一人で僕を大切に育ててくれたんだ。
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