IF…二人のハロウィーン

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イタリア製の上質なソファに、ドラキュラの緋色のマントが映える。きっちりと着込んだブラックスーツ。ひじ掛けに置いた手であごを支え、ゆったりと足を組んで座る俺の前に、グレーの毛皮の付け襟とリストバンドだけを身に着けた力弥がぺたりと座り込んだ。 「ご奉仕させてください、ご主人様…。」 俺を見上げる美狼の前で組んだ足をゆっくりと下ろせば、潤んだ瞳は俺の股間に釘付けになっている。ベルトのバックルの前で人差し指をくいくいと曲げて呼び寄せると、狼は毛皮をまとった白い手で、トラウザーズの前を器用にくつろげた。淫靡な空気をまとった狼は、下着の中で形を変える俺の雄に鼻を擦り付け、すんすんと匂いを嗅ぐ。熱い吐息が布越しに雄の証しを刺激した。 「さあ、上手に咥えなさい。」 狼はこくり、とうなづくと下着からぶるりと飛び出したそれにむしゃぶりついた。たっぷりと唾液を蓄えた咥内が竿を扱き、弾力のある唇がカリ首に吸い付き、尖った舌が鈴口を何度も撫で上げる。狼は遠慮のない水音を立てながら無心で頭を上下させた。グレーの毛に覆われた白い指が竿の根本を摺り上げ、陰嚢を揉みしだく。 俺はかわいい狼の黒髪を指で梳きながら腰を浮かせ、雄の先端で上あごのざらついた部分をこすってやった。んんっ、んふーと鼻に掛かった甘い声が上がる。ついこの前まで性的なことなど何も知らなかったのに、今では口の中まで立派な性感帯だ。 「うまいか?」と問えば、頷く代わりに頬をすぼめ、竿を吸い上げるようにしながら口中で愛撫する。口の端からこぼれる唾液とも雄汁ともつかぬそれを親指で拭うと、ひくん、ひくんと腰が揺れた。四つん這いになった今は見えないが、きっと彼の雄も期待に震えながら、しとどに濡れていることだろう。 「力弥。」 名前で呼べば、口いっぱいに頬張ったままの彼がおずおずと上目遣いで俺を見る。 「口を離しなさい。」
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