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求職者の逃げ出した建物内。
辺りに散らばる書類やら何やら。
そとへと通じるぶち抜かれた壁が二箇所。
へたりと腰を抜かしている葉子に、抱かかえられたままの小紅が言う。
「守ってくれてありがと、ヨーコおねえちゃん」
混沌としたこの場において、似つかわしくない笑顔。この笑顔を守れただけでも勇気を出した甲斐があったと思う。
「あー、えっと。ありがとうございました阪口さん」
「気にするな。ああいう輩の対応するのがおれの役目だ」
勘違いしていたのかも知れない。
大雑把で適当で、ただの雑用係だと思っていたこの人は。実際は化け物想いで腕っ節が強くて、ここの責任者だったなんて。
「それよりも、なんだ。こんなことあっちまったが……まだここでアルバイトしたいって思うか?」
こんな怖い思いをした。
一歩間違っていれば命を落としていた可能性もあった。
「そうですね。正直なところやっていける自信はありません」
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