351人が本棚に入れています
本棚に追加
/183ページ
「うっ」
「でも――」
もしかしたら一期一会の出会いかも知れない。
化け物のことを知ってしまった以上、このままさようならでは薄情すぎるし、なによりも阪口の人間社会の認識は誤っている。それにこんな時給のよい仕事はほかにない。
「ここでなら、頑張れそうな気がします」
「……そうか」
この世界にはふたつの種族がいる。
人間と化け物。もともとべつの世界で暮らしていた彼らだったがわけあって人間の住む世界で、人間になりすまして、人間と同じような生活をして生きている。
ここは化け物が、人間世界で生きていくのをサポートする場所。同じ化け物にしかできないこと、わからないこともあれば、人間の葉子にしかできないこともきっとある。
きっかけは何だっていい。
なんとなく変われそうな気がした。
最初のコメントを投稿しよう!