第二話 化け物たちが夢の跡

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 職員専用部屋。つまるところ従業員の休憩部屋だ。そこそこの広さがあり、テレビや冷蔵庫といった家電から、ちょっと高そうなソファなど置いてある。  葉子のほかにひと気はなく、ほかの職員はみんなフロアに出て業務に当たっているのだろう。  とそこへ。  がちゃり、と部屋のドアが開いた。 「おつかれさまですー。はぁ、暑っちぃー」  この声は水飴だ。  ひとまず挨拶しようと振り返る。 「お、おはようござ――」  挨拶は途中で止まる。視線の先、ドアのところにいたのは見たことのない完全に液体と化したスライムだった。 「あっ、葉子ちゃん。今日も暑いねー。溶けちゃいそうだよ、あはは」 「もう溶けてますよ」  前回会ったときはまだある程度人間の形をしていた。言うなればノーマルスライム。しかし今の姿はどう見てもバブルスライム。アイスなら完全に溶けきってしまった状態だ。  指摘された水飴は身体を確認する。 「あれ、ほんとだー? さっきまでギリギリで形保ってたのにー」  愉快そうに笑うバブルスライム。つられて引きつった笑みを浮かべる葉子。
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