第二話 化け物たちが夢の跡

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 こんなでかくて暑苦しい後輩をもった記憶はない。 「いやだなー葉子ちゃん。この子はあのとき阪口さんにぼこぼこにぶっ飛ばされたミノタウロスだよ? 壊した備品代を弁償ためにここで働くことになったんだー」  そんな簡単に採用してよいものなのか。  ちらっと横目でミノタウロスを窺う。 「うっす! これからよろしくお願いしゃす葉子パイセン!」  できればかかわりたくない。 「あの、その呼び方はどうかと」  呼び方変わっているし。 「じゃあアネゴのほうがいっすか?」  こいつ誰だよ。殴られたときに中身入れ替わったよ、絶対に。葉子の苦手なタイプとなったミノタウロス。あまり接したくないので適当に話を切り上げることにした。 「なんでもいいですよ」 「うっす!」  礼儀は正しい。暑苦しさを除けば。 「そういえば阪口サンが葉子のアネゴに頼みたいことがあるって言ってました!」 「え? わたしに?」
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