第二話 化け物たちが夢の跡

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「いちおう聞いておきますが、わたしになにを?」 「頼む教えてくれーーどうしたらパソコンは直る?」 「無理です。もう手遅れです」 「ちくしょうなんてこった!」  頭を抱え、膝をついて嘆く阪口に白い目を向ける葉子。 「そもそもどうして直そうと思ったんですか?」 「金がねえからだよ。どっかのアホがパソコンやら壁やらぶっ壊したせいで!」 「トドメを差したのは阪口さんですけどね」  ばつの悪そうに俯く阪口。パソコンは修復不可能な域に。施設の壁は応急処置としてダンボールを貼り付けて一時的に凌いでいる。そんな職安日本全国探してもここだけだ。 「用件がそれだけなら戻りますね」 「待て。オノ・ヨーコに頼みたいことはもうひとつある」  怪訝な顔で阪口を見る。どうせろくでもない頼みな気がしてならない。 「前に話したがおまえにしかできないことだ」 「はて。なんでしたっけ」 「ここの化け物たちに人間社会・人間生活もろもろを教える教鞭をとってほしい」 「わ、わたしにですか?」 「ほかに誰がいるんだよ」
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