第二章 無敵の『ラブノート』

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第二章 無敵の『ラブノート』

 家に帰った美咲はノートのことが気がかりでなかなか寝付かれなかった。 『ほんとなのかな。』美咲は心の中でつぶやいた。 『試してみるしかないか。』美咲はボールペンを片手にノートを開けた。 クラスで気になっている男の子のことが頭に浮んだ。美咲は恐る恐るラブノートに名前を書いた。「中井健一、これでいいかな。後は明日のお楽しみ。」そう言って床に入った。  翌日の学校の放課後、口も聞いたことのない健一から急に声をかけられた。 「君さえ良かったら、僕と一緒に帰らない。」 美咲は急な展開に戸惑ったが、うれしくもあり、健一と下校を共にした。 「何かいいことでもあったの。」 ひとり細く笑みを浮かべて、ノートを覗き込む美咲に母が声をかけた。  次の日、学校に行くと健一と美咲のことが早くもクラスの女子の間で話題になっていた。健一はクラスの女子の間でも人気の的。 「ちょっとあんた、何様のつもりよ。」 クラスのリーダ格の女子の一言を皮切りに、クラス中の女子が美咲イジメに転じた。あの親しかった百合香さえも。そして百合香に好意を持つクラスの男子までもが加わった。 『エライことになっちゃった。どうしよう。』 毎晩、床の中で考えを巡らしているうちに一つのアイデアが浮んだ。 『そうだ、皆の名前をラブノートに書いちゃえばいいんだ。美咲はクラスの名簿を手に取ると全員の氏名をノートに書き込んだ』。 美咲の発案は的中し、翌日からは天国のような学校生活が始まった。 イジメどころか美咲はクラスのアイドル、それも女王様扱い。
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