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第一章 あたしも皆からチヤホヤされたい
美咲と百合香は大の仲良し。
二人は共に同じ中学校に通うクラスメート。
でも美咲には、ちょっと不満が。百合香は美人で成績も良くスポーツも出来て皆にチヤホヤされて、それに比べてこのあたしは。
以前、美咲は母親にこんな質問をした。
「あたしも百合香ちゃんみたいにみたいに皆からチヤホヤされたい。」
「何を言ってんのあんた。平凡に暮らせるってのが、一番の幸せなのよ。」
「でも、やっぱり。」美咲は不満げだった。
それからしばらくたったある日の学校の帰り道で、美咲はおばあちゃんが道端にうずくまっているのが目に入った。どうやら手に抱えた荷物に困っている様子。美咲は勇気を出しておばあちゃんに声をかけた。
「おばあちゃん、荷物持ってあげようか。」
「すまないね。いいのかい。」
「うん。」美咲は荷物を手にそう言った。
数百メートルほど歩いたころ、おばあちゃんが「どうもありがとね、もうここでいいよ。
お礼に何か欲しいものはないかい。」
「別にいいよ。」美咲は二つ返事で答えた。
「やさしくて、素直でいい子だね、お譲ちゃんは。そうそう、お譲ちゃんにいいものあげよう。あたしにはもう必要ないからね。」
そう言って、おばあちゃんは美咲に一冊の古ぼけたノートを渡した。
「ナニ、これ!」
美咲はキョトンとした。
「これはラブノートと言ってね、このノートにボールペンで名前を書くと、書かれた人から愛されるようになるんだよ。」
おばあちゃんはノートを手渡して、こう言った。
「よくわかんないな?」
ノートを覗き込んでいた美咲が顔を上げた時には、おばあちゃんの姿は既にどこにもなかった。
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