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満月の光が割れた窓から差し込み部屋の壁に無秩序に付いたレーザー痕を照らす。床一面に飛び散ったガラスの破片がキラキラと輝くさまを見る。まるで辺一面ダイヤに囲まれて居るようだ。
今まで生きてきた中でこれ程までに美しい光景を見たことがあっただろうか。
「ねぇまだ生きている?」
凛と澄んだ声が上から聞こえる。額から流れる血が俺の視界を赤く染め上げるなか、声の方向をみる。
そこにいたのは一人の少女だった。
月に照らされ煌めく銀髪。宝石の様なキラキラと輝く大きな紅い目が俺を見下ろしていた。年齢は大人の子供の狭間ぐらいだろうか。
身につけている黒のボディスーツはその美貌と細い線の体をシンプルに惹き立たせていた。
ああ
と返事をする。その言葉は果たして音になっているのだろうか。
「あなた随分と頑丈なのね。そんなお腹に大きな穴が空いて、手足が折れ、頭が割れているのに。」
そうか、今俺はそんな状態になっているのか。
道理で体に力が入らないはずだ。自然と心は落ち着いていた。
それはほぼ諦めに近い感情かもしれない。
「そんな風になってまであなたがはこの世界が嫌いだったの?」
少女の純粋な質問が俺に来る。
俺は微かに動 く首を縦にふる。
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