英雄の言葉

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英雄の言葉

さて、ここからは俺の話をしたいと思う。 名前はアーサー・グレイ・フォール 年は25。仕事はごみ拾い、いわゆるスクラッパーという、最低ポイントを切ったさらにその下の人間が就くものだ。 何も俺は最初からこうだった訳ではない。  両親は俺が10歳になるかならないかの頃に死んだ。アンダーにはごく当たり前の事故で死んだ。  母は裁縫を行い、アッパーの生活を支えていた。優しく大らかな人だったと記憶している。    父は建築を行い、アッパーの生活を作っていた。寡黙で今の時代には珍しい哲学を嗜んでいた。そんなに父に育てられた俺も当然、哲学は身近なものだった。  そんなアンダーの中でも比較的上流階級に生まれた俺はボーダーポイント(人間として最低限持つポイント)を持っていなかった。  原因は分からない。  決して五体不満足な訳でもなく、知的障がいなども無かった。そんな俺なんかを両親は優しく迎え、育ててくれた。  優しき両親が死んだあとは崖を転がるタイヤの様に簡単にアンダーの中でも1番下のゴミ溜めの世界に落ちた。
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