第1章

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何故取り戻す機会を与えないのか 人の命の粗末な事よ 憐れ哀れと人の言う 赤い空のその先の紫色の夜の終わりの先の漆黒の中の終わりの月 街に溢れる無機物 信号 ゴミ箱 空き缶 椅子 ベンチ 標識 車 バイク 鉄棒 煙草の吸殻 ビールケース 看板 廃墟 時計 ポスター 陸橋や橋やビルも 電信柱と其処に貼られたペット探しの貼り紙も 街に溢れる無機物のくせに人に向かって絶妙なバランスでレイアウトされている 何処吹く風よ 其処に吹く風と 太陽の光と熱と 其れを取り囲む空気と もっと言うたら酸素と二酸化炭素と窒素と… 後は…なんやったっけ… そういうもん全部に取り囲まれている 景色に紛れた無機物 無機物の存在に気付いて 自分の存在に気付いて 悲しくて淋しくて切なくて悔しくて所在無くて朧気で嫌で嫌で嫌で嫌で堪らない時と場所 何処を歩いても あるいてもあるいてもこぶねのようにわたしはゆれーて… インスタントの珈琲とクリームと砂糖をカップに入れてお湯じゃなくて水で混ぜて混ざりきらない粉と水を飲むのは ワンルームのフローリングか 公園のブランコか 真昼の図書館か 電車の中か 教室の中か 施設の中か 真冬のベランダの中か 夢の中でさえ… プラタナスが暑くなりすぎた強い陽射しに照らされてコントラストの強い緑の対比を示す 歩きすぎた脚には乳酸と疲労が溜まり肩は凝り腰に負担や負荷が掛かり傷んだ身体には怒りが溜まった 夢に繋がる道は何処だっけ… 幸福も不幸も当事者の感想と主観に過ぎずそれに気付いても私は満たされない 私は満たしたい物を満たせない 私の周りの空間は広すぎて寒気や風や退屈や不満が私の熱を奪う真夏日 人の家のゴミ箱を覗いては相手の挙げ足を取っては満足気なアンドロイドの中身は空っぽ 今や何処吹く風は竜巻になり人を吹き飛ばし 太陽は強烈な陽射しと高温の滞留となり人を焼き 川は増水し雨は洪水になり人を流し 山は地滑りを興して人を潰す もはや人に粗末に扱われた 自然は人を粗末に扱い始めた 人の命の粗末な事よ 哀れ憐れと星の言う 何故取り戻す機会を与えないのか 神よ
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