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神崎は自分の予想が外れたのでがっかりした。
「さて、片付けるか」
神崎はエックス線分析装置の電源を切って評価サンプルを保管庫に片付けると、田町のPHSに電話を掛けた。
「はい、田町です!」
「ああ、田町、神崎だけど、P社サンプルの解析が完了したからデーターをそちらに転送するよ」
「あっ、神崎さん、ありがとう御座いあっす、助かりまっす、お疲れ様でっす~」
「俺はもう仕事終わるからね、よろしく!」
「了解っす!」
(今時の若い子と話すと疲れるな……)
神崎がPHSのボタンを押して心の中でぼやく。
「神崎さん、分光特性データーの解析処理が終わっていますよ!」
(そうだ、試作装置で測定した分光特性データーの解析を忘れていた)
神崎の背後から吉田が声を掛けると、神崎は吉田に右手を上げてOKサインを出した。
分光解析専用サーバーのPCのモニター画面には、検出された金属の波長が表示されている。
「えーと、カッパー、アルミ、タンタル、チタン、タングステン、イリジュウム……あれっ? もうひとつ、何か検出されているぞ……ガドリニュウム?」
神崎はPCのモニター画面に表示された分光特性データーを見て首を捻った。
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