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PHSから聞こえた事務員の声は上品で若々しい声だった。
(田町と偉い違いだな、女子社員はやっぱりこうでないとね……あれっ、技術管理係に田町以外の女子社員なんていたかな? 技術管理係も業務容量がパンク寸前だからアルバイトか派遣社員を雇ってもおかしくはないが……)
神崎が少し首を傾げて心の中で呟く。
「さて、帰るとするか」
神崎は仕事を終えて帰り支度を始めた。
――神崎がセキュリティカードをキーボックスにかざして会社の社門を出ると、午後九時過ぎだった。
神崎は腕時計で時間を確認すると、背広から携帯を取り出して、連れの金城剛司に電話を掛けた。
「もしもし、金城、今日は飲みに行く約束だったよな」
「ああ、俺は店で随分と待ちくたびれているぜ」
「すまん、ちょっと遅れたけど、これから行くから、先にやっててくれ」
「了解」
「それじゃ、いつもの店で」
神崎は電話を切ると、大急ぎで最寄りの駅に向かった。
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