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「今日はダメだよ、連れと飲んでいるんだからさー」
「あら、隣のお兄さん、神崎さんのお友達? 初めまして、神崎の愛人、田町由香里で~す。よろしくっす!」
田町が右手を上げて軽くウインクする。
「えっ、神崎! こんな美人の愛人がいたのか? 俺はマジ悔しいぞ!」
「こら、田町! 嘘を言うな!」
田町はへへっと笑いながら少し舌を出して、化粧室の方に走って行った。
「――ったく」
神崎が振り返ると、金城は化粧室を見つめて固まっていた。
「いい! とってもいい! 由香里ちゃん! す・て・き!」
ぶっ!
神崎が飲みかけのビールを口から噴き出す。
金城はどうやら本気らしい。
「えっ、マジか? 止めた方がいいと思うけど……」
「ほんとに、お前の愛人じゃないんだろうな?」
「ちがう、ちがう、ただの同僚だ」
「じゃ、俺が彼女をお嫁に貰っちゃう」
田町が化粧室から出てくると、金城は椅子から立ち上って田町に名刺を渡した。
「金城剛司と申します。よろしくお願い致します」
「……?」
「由香里さん、もし良かったら、俺のGTRで今度一緒にドライブでも如何でしょうか?」
※GTRは日産のスポーツカーで、スカイラインGTRの事。
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