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田町が受け取った名刺も見ずに、金城の顔を三秒程ポカンと見つめる。
「無理! 以上!」
田町は金城に即答すると、神崎の頭を右手でポンポンと軽く叩いて階段を上って行った。
金城が階段を見つめて、また固まっている。
「いい! とってもいい! 由香里ちゃん! そんなに照れなくってもー」
ぶっ!
神崎が飲みかけのビールをまた口から噴き出す。
「はぁー? お前、どんな感覚してんだよ! 俺には理解出来ない!」
神崎が両手を上げて店長の顔を見ると、店長は爆笑していた。
――次の日の朝、神崎は少し寝過ごして会社に出社した。
「ふぅ、ギリギリセーフ」
神崎が息を切らして居室のドアを開く。
定例の朝会が終わると、神崎は田町に作業記録のPC登録を頼んだ。
※PCはパソコンの事。
「田町、昨日の作業記録をPCに入力してくれよ」
「昨日の作業記録って? 私、神崎さんの業務報告はまだ聞いてないっすけど」
「記録表に記入してあるよ。昨日、別の事務員が書いてくれたんだ」
「えっ、別の事務員っすか?」
田町がデスクの上から赤いファイルを取って開く。
「あれっ、ほんとだ。記入してあるっすね……誰っすかね?」
「『誰っすかね?』って、派遣かアルバイトの女子事務員がいるんだろう?」
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