第一章 シークレットナイトライド

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 神崎は慌てて評価室から飛び出すと、クリーンウエアを脱いで会議室に向かった。  会議室に向かう途中、技術営業課の中川と擦れ違った。 (そうだ、例の評価物件は中川の依頼だったな、何でも特別な依頼だとか……)  神崎が中川の顔を眺めて心の中で呟く。 「おい中川、例のウエハ評価の件で来客対応なんだが、お前、何か聞いているか?」 「えっ、聞いていませんよ。先輩、あれは内緒の評価依頼品なんですが」  中川は高校の後輩で、たまたま同じ会社に入社したのだが、いまだに神崎の事を先輩と呼んでいる。 「『内緒の評価依頼品』って、何だよそれ……」 「実は評価設備の大口注文を取る為に、別件でウエハの評価サービスを引き受けちゃったんですよ。中村課長には内緒だったんですけど、バレちゃいましたか?」 「バレちゃいましたよ。たぶんね――」  神崎が冗談半分で中川に答えると、中川は両手を合わせて片目を瞑りながら神崎に会釈した。       
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