第三章 ハッカー

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「えっ、午後八時五十分?」  田町が顔をしかめて首を捻る。 「でも、田町さんのアクセスではありませんね。田町さんの最終アクセスは午後五時五十分でアクセスエンドが午後五時五十七分です。以降のアクセスは午後八時五十分でアクセスエンドが午後九時十五分になります。アクセスコードはA00135。このコードはテンポラリーコードです」 「テンポラリーコードって何だね?」  中村課長が情報システム部の担当者に尋ねる。 「テンポラリーコードは、アルバイトか派遣社員が使用するコードです」 「非正規社員か……」 「AAAの厳秘ファイルはパスワードを入力しないとアクセス出来ないはずなんですが、なぜかアクセスしていますね。パスワードを事前に知っていたか、或いは高度な技術を使ってパスワードを解析したかのどちらかです」  情報システム部の担当者はPCのモニター画面を眺めながら中村課長に話し掛けた。  中村課長が振り返って、神崎の顔を見る。 「神崎、ブラックウエハのデーターも消えたのか?」 「ええ、たぶん、消えました。先日の評価データーは顧客に提出済みなので問題はありませんが、追加評価のデーターが問題です」 「追加評価って何だ?」     
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