第三章 ハッカー

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 神崎が田町から復元リストを受け取ってファイルを確認する。ファイル数は百十八ファイルか、ノートの記録では俺が作成したのは百二十五ファイルだ。田町、復元出来なかったファイルのファイル名を教えてくれ」 「えーと、CN34600ハイフンBlackハイフンWF関係のファイルが全て復元されていません」 「ブラックウエハの評価ファイルか……このファイルは顧客に提出済みだから問題は無いな。後は追加評価のファイルのみ、これは試作装置にデータが残っているはずだ。田町、よく頑張ったな、ありがとう」 「神崎さん、お礼なんて、いいっすよ」  神崎が田町を褒めると、田町は神崎に小さく右手を振った。  神崎がポケットからPHSを取り出して、生産技術課の吉田に電話を掛ける。 「ああ、吉田君、解析技術課の神崎です。先日、試作装置で再測定したブラックウエハの件なんだけど、測定データーは装置内に残っているかな?」 「大丈夫、残っていますよ。測定データーを評価装置から取り出して、分光解析サーバーに入れましょうか?」 「そうしてもらえると助かるな、後はこちらで分光解析サーバーをリモート操作するよ」 「了解です」 (よし、これで問題は、ほぼ解決と――)  神崎は仕事の目処が立ったのでほっとした。     
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