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技術営業担当者の声色が急に変わった。
「もしもし、その評価サンプルは、現在、新光技術工業社様が保管されているのですか?」
「いえ、もう、評価依頼元の顧客に返却致しました」
「そうですか……分かりました。何れに致しましても、弊社から新光技術工業社様への評価依頼はありません」
「はい、承知致しました。御対応ありがとう御座いました。失礼致します」
神崎が技術営業担当者に丁重な対応を取って電話を切る。
「中川、新和開発社は本当に評価依頼を出していない様だ」
「そうみたいですね、先輩」
「ただし、ブラックウエハの研究は、きっとこの会社がやっているんだよ。極秘の様だな」
「極秘のウエハが、なぜうちの会社に回って来たんですかね?」
「理由は分からないが、たぶん社内の内部リークだろう」
「内部リーク?」
「そう、誰かが極秘のウエハを持ち出したんだよ」
「何の為にですか?」
「製造工法を解析する為さ」
「製造工法?」
「中川、聞いて驚くなよ、ブラックウエハの値段は一スライスで推定一千億円だ」
「えっ、先輩、それ本当ですか?」
「ああ、本当だとも、このウエハの量産技術を確立すれば、巨額な利益を手に入れる事が出来るんだ!」
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