第三章 ハッカー

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 神崎の話を聞くと中川はまた腰を抜かして床にへたり込んでしまった。  その時、神崎のPHSが小刻みに震えて着信音が鳴った。  神崎がポケットからPHSを取り出して通話ボタンを押す。 「はい、神崎です」 「神崎君、特別会議室に来てくれないかね、人事にセキリュティ事故の報告をするから、田町も連れて来てくれ」 「分かりました」  神崎は田町を連れて特別会議室に向かった。  ――特別会議室。  会議室のドアをノックして中に入ると、奥の席に中村課長の姿が見えた。  中村課長の前席には、技術営業課の村田課長と人事部の富田部長が座っている。 「まあ、座ってくれ」  中村課長が右手を差し出して二人に着席を求めると、二人は一礼をして彼の隣席に並んで座った。 「技術サーバーのファイルを消した犯人は、どうやら、技術営業課のアルバイト社員、星野由美の様だ。人事部に星野由美の連絡先を確認してもらったんだが、連絡が取れなくてね。それで人事登録されている彼女の住所に行ってみたんだ。すると、その住所は空き地だったんだよ。人事面接の記録では日亜大学一回生となっているが、それも嘘だ。日亜大学に問い合わせたら、星野由美という学生は在学していなかった」 「えっ、じゃあ、彼女は誰なんですか?」     
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