第三章 ハッカー

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「それは、我々にも分からない」  中村課長は小さく首を振って神崎に答えた。 「村田君、彼女の勤務状態はどうだったんだ。怪しいところは無かったのかね?」  富田部長が村田課長に尋ねる。 「いえ、特に怪しいところはありませんでした。PCが得意という事でしたので、主に営業事務を担当してもらいましたが、仕事は良く出来ましたし、電話の対応は非常に丁寧で、正社員が見習って欲しい位でした。ただ、資料の印刷やコピーを頼んだ時に、結構、時間が掛かる時がありましたね。印刷室で情報を閲覧していた可能性があります」  村田課長は手を組んで、富田部長の質問に答えた。 「人事としては、アルバイトの採用面接も実施しているし、学生証の提出もさせているので、問題は無いと思っていたんだが、甘かったな。それにしても、なぜ、神崎君の技術データーだけが盗まれたのか分からない、他に重要な技術情報は沢山あるはずだが……」  富田部長が神崎に話し掛ける。     
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