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ごーん、ごーん。
森に響き渡るのは、ミノタウロス・ロードのミノンが木を切り倒すべく斧を振るう音だ。
あの、衝撃の日からもう三日になる。
最初は夢だと思い込もうとした俺だったが、すぐに現実だと思い知らされた。
何故なら、俺の住む茨の城はゲームの中にあった物で、そこに住むモンスター達もゲームの中の存在だった。
それが現実になった場合、いろんなことに事欠いた。
つまり・・・・・・まず、食料がなかった。
これは、俺がインベントリに入れていた食料系回復薬でなんとかしたが、そう長くは持たない。
どうにかしなければならない案件の一つだ。
次に、差し迫った問題だったのが、トイレだ。
皆、排泄なんて今までしなかったからトイレ自体がなく、気付いた時は焦った。
限界まで耐えたぜ・・・・・・。
これは、浴場問題と一緒にドワーフのハマーが解決してくれた。
ほんの一時間近くで見事に作りあげるんだもんな。驚いたよ。
まあ、その一時間が俺には無限に思えたが・・・・・・。
「マスター、汗がひどいですよ。やはり、城でお休みになられたほうが・・・・・・」
俺があれこれ思い出していると、いつの間にか隣にグレイが立っていた。心配そうにこちらを見るグレイに、俺は首を振ってみせる。
「いや、大丈夫だよ。第一、俺がいないと指示する奴がいないだろ?」
「それはそうですが・・・・・・」
グレイはしぶしぶといった様子で口を噤んだ。
そう。
このモンスター達、皆強くて優秀なのだが・・・・・・常識に疎いのだ。
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