3人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
厭な予感を覚えて、俺は顔を引き攣らせた。
香織は顔を上げ、大トカゲを睨みつけると、両手を振りかざして叫んだ。
「ご主人様を、いじめないで!!」
地面が揺れる。
俺は例の如くグレイに庇われてその場から避難した。
そしてーー。
「・・・・・・やっちまったなー」
数分後。俺は諦めの表情を浮かべて呟いていた。
視線の先には、前衛的過ぎるオブジェ。
大トカゲを串刺しにした巨大な樹が堂々とそびえ立っている。
「あーあ、香織ちゃんってばー。本気だしちゃ駄目って、ご主人様に言われてたのにー」
「うむ。我も手加減し過ぎて不満だぞ。せっかく主人に活躍を見てもらういい機会だったというのに」
「ご、ごめんなさい・・・・・・」
キティやミノンから責められて、香織は縮こまっている。
グレイはというと。
「・・・・・・香織」
「はっ、はい!」
「帰ったら、説教です」
「・・・・・・はい」
冷たい笑みを浮かべ、そう宣言した。
どうも、俺を巻き込みそうだったのがいけなかったらしく、静かに切れていた。
まあ、なんとか無事だったんだし・・・・・・と、思うのは甘いかな?
最初のコメントを投稿しよう!