覚醒せし天才たる私の記録

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 原因は分からないが、先程から私は半径30m程度の範囲内を高速で動き続けている。避け続けていた時となんら変わらないキレで避けられるように試み続けているのに、なぜか降り注ぐ雨を全てこの身に受けてしまっているのだ。そう。半径30m程度の範囲内に降り注ぐこの豪雨を全てこの身一つに受け切ってしまっているのだ。勿論私の体には半径30m程度の範囲内に降り注ぎ続けてる豪雨の塊どもを受け続ける代償としてパンツまでグッショリ濡れている状態ではあるのだが、高速で移動している事で何故か半径30m程度の範囲外へ私の体にまとわりついた水分が弾き飛ばされているのだ。つまりどういう事かと言うと、さっきからこの半径30m程度の範囲内の地面を一切濡らさずにすんでいるのだこの豪雨の中でええええええ。  これを天才と言わずとして誰が天才なのだろう。  しかし、恐らく私の体は間もなく限界を迎えるだろう。  録画も忘れ、証人の用意も忘れた私の偉業など誰も知る事等無いだろう。  だが、それでも良いと思うのだ。  せめて、この記録を読んだ貴方にさえ覚えて頂けるのなら、それでいいのだ。  覚えておいて欲しい。  私という天才の存在を。
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