2日目.世界で一番熱い

6/6
前へ
/63ページ
次へ
 ピンポーン、玄関のチャイムが鳴った。宇宙人が帰ったのを確認して、また警察や自衛隊や色々な面々が押し寄せた。面倒くさく、つまらない事だが、市民として無視はできない。  家が静かになったら、もう昼だった。  軽くお茶漬けを腹に入れ、久麗爺は四畳半の自室に籠もっていた。年のせいか、ひどい疲れを感じた。体を縦にしていられない。  床に積んで広がった本を押しのけ、できた隙間に体を横たえた。睡魔が来て、そのまま目を閉じた。  かたかた、何かが窓ガラスを叩く。しかたなく、右目だけ薄く開けた。  窓の外に誰かいる。大型のカメラを室内に向け、久麗爺の寝姿を撮っている・・・爺いの寝ているところを? 体を動かすのもおっくうで、また目を閉じようとした。  と、カメラの左右から警官が現れた。もみ合いになり、がたごと、壁に男たちの体当たりが響いた。 「わたしは、アサヒのカメラで・・・」  男が何か言った。どこかの新聞かテレビか、マスコミ関係の者が検問をくぐり抜け、家の敷地に入ったよう。  警察の盗聴は違法と大騒ぎするマスコミだが、自分らのやるストーカー追跡や盗撮盗聴、家宅不法侵入などは正当行為と主張する。舌は何枚斬り落としても二枚ある連中だ。  イム・ベーダーに頼んで、消去してもらおうか・・・そんな事を考えるうち、いつしか眠っていた。
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加