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ぱっ、一瞬、テレビ画面が白一色になった。核爆発が巨大ロボットの正面、北京側で起きたのだ。
また街が映る。どどどん、画面が激しく揺れた。すでにチリは吹き飛ばされた後か、ごく薄い土煙が街をおおう。
ドローンが高度を下げて、地上近くに来た。天安門に掲げられた毛沢東の肖像画が傾いている。
動く物は無い・・・よろよろ、車と車の間を歩く人があった。他は、地面にうずくまり、あるいは倒れている。高度20キロ以上での核爆発とは言え、メガトン級衝撃波の威力だ。
街のあちこちで黒い煙が上がる、火災が起きていた。衝撃波で家の中の電線がショートしたか、台所から出火したか。
太郎はカチカチと歯を鳴らした。アフガニスタンやシリアの戦争をテレビで見たけど、ピンポイントで爆弾や砲弾が炸裂していた。面で街が被災する場面は、地震や津波でしか見た事が無い。原爆は普通の爆弾と違う、その思いを確かにした。
そんな北京を見下ろして、巨大ロボットは泰然と立って・・・ぐらり、肩が揺れた。ひざが崩れ、体が斜めになっていく。
ごごご・・・身長30キロのロボットがゆっくり斜めになりながら、不規則な衝撃波を発していた。だらりと両腕は垂れ、体が屈んでいく。
「よし、その状態を維持」
イム・ベーダーが通信機に言った。息をつき、角をなでた。
太郎はテレビの傾いたロボットを見て、イム・ベーダーを見た。その顔は平静だ。指揮官ゆえ、何か予測不能な事態が発生しても、感情は表に出せないのか。巨大ロボットは不正常な状態になったが、沢山ある宇宙船の一機にすぎない。彼らと地球側の力の差は、まだまだ大き過ぎるほどある。
「北朝鮮は、攻撃の後、うれしそうに放送した。さて、中国はどうだろうか」
久麗爺はあごの無精ヒゲをかき、下駄の裏側のような共産党主席の顔を思い出した。首脳外交の場では、笑ったり仏頂面だったりと感情を表に出す男である。
「それは確かに興味深いな。ふむ、彼らも放送したがっているようだし、中継してやろう」
イム・ベーダーは通信機を操作する。小さな機械だが、とても多くの機能があるようだ。
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