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じゃっじゃーん、テレビ画面は赤地に白い星の旗になり、ファンファーレが鳴った。中国の国営放送らしい画面だ。
「あれえ、おばさんじゃない」
太郎が声を上げた。最近は女性の報道官が政府発表をする事が多い国営放送、今日は胸に勲章を重そうに飾り付けた軍人である。
「中国人民、そして世界の人民諸君、今日の共産党が行った快挙を見よ。敵なる宇宙人のロボットに一矢を報いた。我々は犠牲を恐れない、あらゆる困難を排し、共産主義の旗の下、世界人民のトップとして宇宙人の侵略に立ち向かう!」
もちろん、同時通訳のサービス付き放送だった。鼻の穴を大きくして、テレビの軍人はしゃべるしゃべる。となりの侵略者の方が、よほど好ましい人物に見えてきた。
イム・ベーダーは聞きながら肩を落とした。感情を素直に表に出した、期待に反する内容の放送だったのは明らか。
「つまらん」
一言もらし、イム・ベーダーは通信機を操作した。テレビは北京の風景に変わる。
やはり、中国共産党は党の権威を優先した。自国の首都、北京の市民に被害がおよぼうと、お構い無しで攻撃した。犠牲を恐れない、と勇ましい事を言ったが、自分は安全な地下室で作戦を指揮していたはずだ。その報いが来る。
中国は消去される・・・久麗爺は首が痛くなった。
他国ながら、中国は日本とつながりが深く長い。中国の混乱は、多くの場合、少しの時間を置いて日本に来る。秦氏の渡来、元寇、日清戦争・・・と、中国の戦乱が日本に影響した例は数え切れないほどだ。
「さて、BGMスタートだ」
イム・ベーダーが言うと、テレビからビートの効いた音楽が流れた。明らかに地球の音楽、そう古いものではない。
「あ、マイケル・ジャクソンだ」
太郎が曲に気付いた。
巨大ロボットの腕が動いた。しかし、何やらぎこちない動きだ。
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